建材や端材を
プロダクトに。
建設現場で生じる土や木や石、プラスチック。何もしなければ廃棄されてしまうそれらの端材を資源と捉えて活用し、新たなプロダクトをつくります。
樹齢130年の吉野杉の端材を活⽤したプロダクト
『ヨシノチップス』
淺沼組名古屋支店改修プロジェクトでは、製材する際にどうしても発生してしまう端材を活用してプロダクトを制作しました。淺沼組は奈良の宮大工が起源で、奈良県と300年以上にわたり関係を築いてきました。奈良県吉野郡は500年ほど前から造林が始まり、持続可能な森林管理を行なってきました。林業を持続可能なものにするためには木材の需要をつくる必要があります。持続可能な林業という共通の思いを持ち、名古屋支店では吉野林業の関係者の皆さんと共にさまざまな形で木材を活用することを考えました。名古屋支店の外観には樹齢130年ほどの吉野杉の丸太を使い、内装材や家具・建具などにもふんだんに利⽤しました。さらに、通常廃棄されてしまう細かな材はプロダクト化して、クラウドファンディングを実施。そこで得た収益は全て、奈良県フォレスターアカデミーの学生に寄付しました。
- Project
- GOOD CYCLE BUILDING 001
- Project team
- 吉野銘木製造販売・キセイテック・工房アップルジャック・H inc・Study and Design・淺沼組技術研究所
廃プラスチックをアップサイクルしたテーブル
廃プラスチックとは、プラスチック製品を製造する上で生まれるプラスチックのかけらや、不要になって廃棄されたプラスチック製品のことを言います。海洋プラスチックゴミは年々増え続け、環境省によると「毎年、海に流出するプラスチックゴミのうち2〜6万トンが日本から発生したものと推計される」とのこと。安価に大量生産できる材料であるがゆえに簡単に捨てられてしまうという現状があります。近年は、ヨーロッパを中心に、廃棄されるプラスチックをリサイクルし、価値あるものに再構築するという活動も広がっています。淺沼組名古屋支店ではその活動に共鳴し、アップサイクル家具を制作。廃プラスチックを淺沼組技術研究所の乾燥炉で溶かして板材を制作し、もともと使われていた会議室用テーブルに組み合わせました。
- Project
- GOOD CYCLE BUILDING 001
- Project team
- TAKT PROJECT・淺沼組技術研究所
いずれ土に還る、『還土ブロック』
セメントなどの人工材料を使用せず、土と水を練り混ぜて自然の材料だけでつくったブロックです。地球環境への負荷が低いだけでなく、土の温かい感覚によって、居心地の良い空間をつくることができます。土壁は「呼吸する壁」といわれるもの。土の特性から高い吸放湿性能があるので、壁自体が空気環境の改善に役立ちます。また、脱臭効果もあり、日本古来の土の壁を間仕切り壁として活用することで、快適で居心地の良い空間となります。環土ブロックは、日本古来の伝統技法である版築工法を用いて、土を突き固めてつくりました。土は地産地消であり、工事現場の発生土をアップサイクルして建材として利活用し、供用後はそのまま粉砕して土に還すことができるので資源循環性が高く、環境にかける負荷も少なくなります。
- Project
- GOOD CYCLE BUILDING 001
- Project team
- 淺沼組技術研究所
森の材料を集めた、『フォレストバンクテーブル』
デザイナーの狩野佑真氏が手がけるマテリアル「Forest BankTM(フォレストバンク)」を天板に採用したテーブル。狩野氏は、一般的に家具に取り入れられることのない小枝、樹皮、木の実などを山から採集し、森の豊かさや多様性を感じるマテリアルの製作に取り組んでいます。
浅沼組名古屋支店改修プロジェクトでは、外観の柱として使われている樹齢130年の吉野杉の伐採現場に行き、建築材料としては使えない枝葉や根の部分、その土地の土を取り、飛騨の森で集めた材料と混ぜ合わせ、環境に優しい造形材料で固めています。奈良県吉野の針葉樹林と岐阜県飛騨の広葉樹林が合わさり、さまざまな自然の表情を楽しめるテーブルとなっています。
- Project
- GOOD CYCLE BUILDING 001
- Project team
- 狩野佑真・TAKT PROJECT・淺沼組技術研究所・飛騨の森でクマは踊る・アーティストリー
石材の端材をアップサイクルした家具
改修前の淺沼組名古屋支店のエントランスで貼られていた石材を綺麗に剥がして、トイレの内装材として再利用しました。さらに、内装材として利用できない端材は細かく砕き、家具のデザインとして取り入れました。細かく砕いた大理石をコンクリートに混ぜ、コンクリートのコアを抜く機械で形をつくり、応接室のテーブルやチェアの家具材として使っています。ゼネコンならではの、オリジナル家具が生まれました。
- Project
- GOOD CYCLE BUILDING 001
- Project team
- TAKT PROJECT・淺沼組技術研究所
土と木を積層させた、『立体木摺土壁』
土や藁スサ、おがくずといった自然由来の素材を用いながら、土と木を積層した壁です。古来より世界中で用いられてきた、日干し煉瓦※を応用して、内装材として開発しました。土壁を自立可能な構造として安定化・軽量化し、短時間での施工が可能です。自然材料に水を混ぜて人力で積み上げるため、製造・施工時におけるCO2排出量が低く、土や木のなかにCO2を貯留する機能を持ちます。(特許出願中)
2024年2月にオープンした豊洲千客万来施設内の青果仲卸「芋松」が運営する店舗の内装材として、芋松が販売する野菜を育てる畑の土を利用し、立体木摺土壁を製作しました。解体後は、土と木を分離して新たな建築内装材として再生するか、畑の土に還元することで、サーキュラーエコノミーの一環に位置づけることを目指しました。
※日干し煉瓦 土を手成形あるいは型枠成形し、自然乾燥させたもの
- Project
- 芋松 豊洲千客万来
- Project team
- 木野内剛・萱沼宏記・淺沼組技術研究所
おがくずをリユースした、アップサイクルパネル
青果仲卸「芋松」が運営する豊洲千客万来施設内の店舗に、野菜の運搬時の緩衝材として用いられるおがくずと廃プラスチックを組み合わせて固めた天板を開発し、商品陳列用の棚として設置しました。おがくずや廃プラスチックを敷き詰める順番や割合、加熱時間の違いにより、色合いや透過具合の異なる多様なバリエーションを生み、様々な寸法に加工して用いることができます。透け感があり、裏側から光を当てるとおがくずが浮かび上がります。
- Project
- 芋松 豊洲千客万来
- Project team
- 木野内剛・萱沼宏記・淺沼組技術研究所